コロワイド、大戸屋へのTOB成立発表 保有比率47%
外食大手のコロワイドは9月9日、定食チェーンの大戸屋ホールディングスに実施していたTOB(株式公開買い付け)が成立したと正式に発表した。締め切りとしていた8日までに約200万株の応募を集め、下限である約151万株を上回った。従来保有していた19%と合わせ、保有比率は計47%となった。コロワイドは大戸屋HDの連結子会社化を図る。
大戸屋HDはTOBへの反対意見を表明しており、外食業界では初めて敵対的TOBが成立した。コロワイドは近く大戸屋HDに臨時株主総会の開催を要請する。複数の現経営陣の残留を含めた役員案などについて大戸屋HD側と協議するとみられ、大戸屋HDの対応が注目される。大戸屋HDの上場は今後も維持される見込みだ。
引用:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63612040Z00C20A9EAF000/
─ YODOQの見方───────────────────────────
敵対的TOBとは、買収を実施する企業が買収される企業の経営陣の承諾を得ずに株主から株式を購入し、株式の保有比率をあげることで、株主総会での議決権行使を行い、企業を手に入れることです。
今回のTOBを阻止するために、大戸屋ホールディングスが株主に向けて主張した内容は「コロワイドのセントラルキッチンが導入されれば、店内調理の良さ、大戸屋の味が失われてしまう」という味へのこだわりでした。
確かに大戸屋の味に惹かれて、応援したいという思いから株主になったという人もいるかもしれませんが、大多数は儲かりそうだからという単純明快な理由で株式を購入しているのではないでしょうか。そのような株主に大戸屋の味を守ることを全面に押し出してアピールしても心には響かず、コロワイドが提示した開始直前の株価に46%も上乗せするという目に見える利益にこそ心動かされ、コロワイドへの株式売却を決めたのではないでしょうか。
大戸屋は顧客に向けて味へのこだわりを主張したのに対し、コロワイドは株主に対してのみ有効な施策をしたということです。そして株主をピンポイントで押さえたコロワイドがTOBを成功させました。
相手に伝える技術で重要なこととして、相手の望むものを察し提供することで、相手の心に響き、理解を得られるという考え方があります。相手の望むものを察するとは、伝えたい相手を想像するということです。自分が主張したいことだけを伝えるのみでは、その主張がどれほど正しく懸命に主張しても相手の心には響きません。
自社の製品を紹介する時には、一方的に素晴らしさをアピールするのではなく、顧客が求めているものや困っていることを見極め、それを解決するような提案をしなければいけないと改めて感じました。
参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63670040Q0A910C2000000/