絵文字 知られざる舞台裏

BS世界のドキュメンタリーという番組で見た内容を紹介します。
私たちがスマホなどで日常的に使っている絵文字。この絵文字は、「世界共通言語」として世界的に規格が統一されている。アメリカの大手IT企業などからなる団体(ユニコードコンソーシアム)が、新たな絵文字の採用を決定しており、認定を求めて様々な団体がロビー活動を行っている。
番組では、白ワインの絵文字採用を求める醸造家などのロビー活動を取材。絵文字は、どのようなプロセスで決定されてゆくのか、その知られざる世界を描く。
原題:BackLight:Beyond Emoji (オランダ 2019年)

引用:BS世界のドキュメンタリー 2020/7/7

まずは、言葉を復習しておきます。

■ 絵文字とは
日本発祥 NTTドコモが1999年に世界に先駆けて開発したインターネット接続のiモードに搭載されたものです。
ソフトバンクの孫社長は、日本でのiPhoneの普及には絵文字の導入が欠かせないと強く主張し、絵文字を世界標準にするUnicode化が進められることになります。そして2011年にUnicode化された絵文字が’emoji’ としてiPhoneに搭載されるようになると、一気に世界中に広がっていったのです。
2021年 ニューヨーク近代美術館に展示されました。

引用:日本発祥の絵文字

■ ユニコードとは
Unicode は世界で使われる全ての文字を共通の文字集合にて利用できるようにしようという考えで作られており、現代の文字だけでなく古代の文字や歴史的な文字、数学記号、絵文字なども含みます。ユニコードは21bitのコードで分類され、私達はパソコンでユニコードを認識するために、符号化の方式(UTF-32、UTF-16、UTF-8)というものを用いています。

引用:ユニコードについて

■ ユニコードコンソーシアムとは
ユニコードコンソーシアムは、最新のソフトウエア製品と標準化において、ユニコード標準の構築、発展、普及、利用促進を目的として設立された非営利組織です。同コンソーシアムの会員は、コンピューターと情報処理に係わる広汎な企業や組織から構成されています。
代表的な企業として、マイクロソフト、アップル、グーグル、オラクル、アドビ、yahoo等があります。

引用:ユニコードコンソーシアムについて

番組の中で採用するか否かが議論されていた絵文字には次のようなものがありました。
白ワイン:もし採用するとなると赤ワイン、シャンパン、ウイスキーはどうするのか?
LBGTの旗:世界的な価値観、倫理観は?
国旗:例えばチベットの旗を採用すると、中国に忖度しなければならない。
皮膚の色をどうするか:ひとつの色を採用したら他の色は?

このような議論に対して、各団体は今年こそは、と交渉に来ていました。

─ YODOQの見方───────────────────────────

スマホや携帯電話で文字を打つと、その候補の中に絵文字が出てきます。生活に溶け込んでいて、何の疑問も持つことなく使える便利なデジタルツールだと思います。
しかし、絵文字を決めるにあたっては、政治、経済、国家、人種、宗教、倫理観、価値観といった、アナログで、混沌とした議論が行われていました。世界の利害、意思の縮図のように思えて、非常に興味深く見ることができました。
現代の高度に進化したデジタル社会も、恐らく人間の泥臭い意思が積み重なってでき上ったのでしょう。
考えてみれば、私達が作っているシステムもそうです。それを使うお客様から見たら、ただただ便利なデジタルツールだと思います。しかし実際に作っていく過程は、みなさん知っての通り、アナログな作業に満ちています。
結局のところ、デジタルな仕事とは、人間が作るだけに、実は人間臭い仕事なんだ、ということを再認識した次第です。
2020年3月10日にリリースされたUnicode 13.0 では、55個の絵文字が追加されました。目新しいものとして、涙の笑顔、つまむ指、坊主頭の人、いろんな職業の人、ハグする人、タピオカティー、そうそう番組の中で議論されていたLGBTの旗もありました。さて、次のリリースではどんな絵文字が追加されるのでしょうか。
引用:Unicode 13.0 絵文字