約10日で「新型コロナワクチン職域接種予約システム」を構築、SCSKのア ジャイルアプローチとは
SCSKは「S-Cred+プラットフォーム」とAmazon Web Services(AWS)を組み合わせて、「新型コロナウイルスワクチン職域接種予約システム」を短期間で構築したと発表しました。「新型コロナウイルスワクチン職域接種予約システム」は、新型コロナワクチン職域接種を迅速かつ安全に実施するために開発されたシステムで、約10日間で構築と検証が実施されました。
S-Cred+プラットフォームはSCSKが自社開発したインフラ基盤、アプリケーション基盤、開発ツール、開発・運用管理ツールが統合された開発・運用環境のことで、短期構築と安定運用の実現に向けて同社のシステム開発と運用マネージドサービスの提供基盤としています。
システム構築に当たり、アジャイル型開発プロセスが採用されました。
最初の5日間で仕様確定から初回テストまでを行い、後半の5日間で脆弱性検査が行われました。データへのシンプルかつ安全なデータアクセスを実現するために、「GraphQL API」の「AWS AppSync」が使われ、コンテンツをホストする目的「AWS Amplify」が使われました。また、「S-Cred+プラットフォーム」が備えるセキュリティ機能を活用して、安全性向上のため利用者を限定する仕組みが実装されました。脆弱性検査ではSCSKが提供する、Webアプリケーション、プラットフォーム、ネットワークに潜む脆弱性を発見し、必要な対策方法を提示する脆弱性診断サービスが活用されました。
SCSKでは、「新型コロナウイルスワクチン職域接種予約システム」を活用して、対象となる社員達の接種を7月中旬より開始するとしています。
─ YODOQの見方───────────────────────────
今回のシステムではアジャイル型開発プロセスが採用されました。他にも様々な開発プロセスモデルがあります。
■ウォーターフォール型開発プロセスモデル
システム開発の各工程を上流工程から下流工程へ順に行っていく開発手法で、流れる水の様に開発工程が進むことからウォーターフォール(滝)と言われている
メリット:計画通りに進めやすく、必要な人材を確保しやすい
デメリット:前工程に戻ることが難しく、仕様変更に対応しづらい
■プロトタイピング型開発プロセスモデル
「試作品(プロトタイプ)」を作成し、依頼者のチェックのもと詳細な仕様などを決定する開発手法
メリット:試作品を元に具体的な仕様を決めていくため、具体的なイメージがなくても開発を進めやすい
デメリット:試作品の作成コストが必要となる。また、具体的な仕様は試作品作成後となるため、追加要望などによりスケジュールがずれてしまうことがある
■アジャイル型開発開発プロセスモデル
「計画」から「テスト」までの工程を反復する開発手法で、仕様変更を前提とした開発に適している
メリット:仕様変更に柔軟に対応でき、リリースまでの期間を短くすることができる
デメリット:仕様変更を前提としているため開発の方向性がずれやすく、スケジュールや進捗具合を把握しづらい
■スパイラル型開発プロセスモデル
「計画」から「テスト」までの工程を反復する開発手法で、工程が終わるごとに依頼者へ披露し、依頼者の評価や要望などを反映する
メリット:依頼者の要望を反映させながら開発を行うため満足度の高いシステムが提供できる
デメリット:修正が発生した際、都度システム開発が必要となるため時間とコストがかさみやすい
システムを開発にするにあたり、予算や納期などプロジェクトの特徴に合わせた開発プロセスを選ぶことがシステム開発を進めていくうえで重要となります。また近年、システムの開発を単独で考えるのではなく、システム完成後の運用を考慮した開発も増えています。今後のシステム開発では、単純に開発するだけでなく運用など、システムに関わる様々な立場との連携が重要となるのではないでしょうか。