東証最上位のプライム市場、1841社でスタート 1部の約8割移行
東京証券取引所は11日、いまの五つの市場を三つに再編する4月の再編を前に、上場企業3777社の移行先を公表した。
最上位のプライム市場には東証1部の約8割にあたる1841社が移るが、現時点で上場基準を満たせず、経過措置の制度を使って移行する企業も含まれる。銘柄を厳選して世界中から投資を呼び込む考えだったが、新市場は従来とあまり顔ぶれの変わらないままでの始動となりそうだ。東証は4月4日にいまの五つの市場をグローバル企業向けのプライム▽中堅企業中心のスタンダード▽新興企業向けのグロースの三つにする。
スタンダードには1477社が、グロースには459社がそれぞれ移行する。
引用:<Yahooニュース>
https://news.yahoo.co.jp/articles/d0eb4cb8cf8d01fbe633168094579875dcbb4d10
─ YODOQの見方───────────────────────────
東証の再編と3市場の基準について、整理してみます。
東証の中核市場の再編は2部を新設した1961年以来の60年振り。
新興市場も集約し、現在4つある市場を3市場に再編します。
東証は「プライム」を世界経済をリードする企業向けと位置づけ、国内経済の中核「スタンダード」、高い成長性を持つ「グロース」に整理し、投資家にわかりやすくする狙い。
現市場と2022/04/04以降の市場の企業数は以下のとおり。
【現状】
東証1部:2185社 ⇒ 1841社がプライム、344社がスタンダードへ移行
東証2部:474社 ⇒ 474社がスタンダードへ移行
ジャスダック:694社 ⇒ 439社がスタンダード、他はグロースへ移行
マザーズ:424社 ⇒ グロースへ移行
【2022/04/04~】
プライム:1841社(うち、経過措置296社)
スタンダード:1477社
グロース:459社
再編後の上場基準もこれまでのルールより厳しくなります。
これまで東証1部では、時価総額40億円で上場でき、10億円を下回らないと上場廃止にならなかったが、プライムでは上場も廃止も流通時価総額で一律100億円(時価総額に換算すると250億円になる場合も)以上を求めるそうです。
プライムの基準を満たさない東証1部の600社強の行き先が注目されましたが、296社は「上場維持基準の適合に向けた計画書」を開示して経過措置の適用を受けながらプライムに上場します。東証は達成の期限を定めておらず、計画書の内容を精査した上で有識者らを交えて決める方針とのこと。最長で10年の計画もあります。
残りの企業はスタンダードへ移行します。親会社が株式を多く保有し、流通株の比率が基準を満たさない企業や、事業範囲が国内のためプライムを目指さない例が多く、プライムの基準を満たしていてもスタンダードを選んだ東証1部企業も23社あったようです。
【3市場の上場維持基準】
プライム スタンダード グロース
株主数 800人 400人 150人
流通時価総額 100億円 10億円 5億円
流通株式比率 35% 25% 25%
流動性 売買代金 月平均売買高 月平均売買高
2000万円/日 10単位 10単位
ガバナンス 3分の1 2人 2人
(独立社外取締役)
本来は、プライムを厳しい基準として市場価値が高く、多くの企業がプライムを目標とする狙いだったと思われますが、基準の緩和と経過措置の影響で多くの企業が残存した結果になり、投資家からも「抜本的な改革を期待したが、日本は緩やかな市場改革しか出来ない」などの冷やかな声もあがっています。
おそらく産業界との間で調和をとった形だとは思われますが、もう少し企業選別をはかり、競争力を向上させる上位市場となって欲しかったというところではないでしょうか。
東証再編により取引時間も30分延長されたり、10月以降にTOPIXの見直しも行われる予定のようですが、今後の動向に注目していきます。
参考:<日本経済新聞>
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB113YR0R10C22A1000000/