任天堂、マリカーめぐる訴訟で勝訴
東京地裁は9月27日、任天堂が2017年2月に公道カートとマリオのコスチュームをレンタルしている企業「マリカー」(現社名は『MARIモビリティ開発』)を著作権侵害や不正競争行為で提訴していた件につき、任天堂の主張を認め、MARIモビリティ開発側にマリオなどのコスチュームのレンタル禁止を含む不正競争行為の差し止めと損害賠償金の支払を命じる判決を下しました。
MARIモビリティ開発は、任天堂とは全く関係のない会社であるにもかかわらず、1人乗りの公道カートとマリオなどのコスチュームのレンタルサービスをおこなっており、外国人観光客から「リアルマリオカート」と呼ばれ人気を集めていました。マリオの扮装をして公道カートに乗っている画像をSNSなどに投稿することで料金を割引したり、宣伝や営業にも利用していました。
MARIモビリティ開発は2015年5月に自動車などのジャンルで「マリカー」の商標を登録しました。これに対し任天堂は9月にゲーム「マリオカート」との誤認・混同を意図しているとして異議申立を行いましたが、特許庁は任天堂の異議を退け、「マリカー」の商標を維持しました。
しかし今回の判決では、「マリカー」という標章が利用者の間で任天堂の商品の表示として広く知られていると認められました。
引用:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1809/27/news135.html
引用:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1703/08/news128.html
─ YODOQの見方───────────────────────────
東京都内では外国人を中心にマリオなどの扮装をして公道を走るカートの利用が増えています。昨年には、都内のカートレンタルの店舗は10店になり、合計で約300台のカートが保有されているそうです。需要の拡大に伴い、交通事故の件数も増加しています。海外からの観光客は日本の道路事情に不慣れな方が多いにもかかわらず、ゲームのように集団で走行するため、危険な運転になり交通事故や交通違反になるケースもあるそうです。
キャラクターの著作会社は文具やお菓子などのパッケージにキャラクターの使用を許可することで著作権使用料を得ることができますが、粗悪な商品に使用を許可してしまうと、その商品のイメージに引きずられて使用されているキャラクターのイメージも低下してしまう恐れがあります。
今回の任天堂の提訴には、不正競争行為もさることながら、マリオの扮装で交通事故や交通違反を起こされることでキャラクターのイメージが悪くなることへの危惧もあるのではないかと思います。
著作権は特許とは違い、学術的価値・経済的価値・芸術的価値の有無によらず、何の手続きをすることもなく創作されると自然に発生する権利です。今回の判決で、著作権について改めて考える企業も多いのではないでしょうか。
参考:https://toyokeizai.net/articles/-/240222?page=3
参考:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1806/05/news062.html