日本の労働生産性は米の7割 1時間47.5ドル、先進国で最低続く(日本経済新聞)
日本生産性本部は19日、労働生産性の国際比較を発表した。2017年のデータから算出した日本の1時間あたりの労働生産性は47.5ドル。働き方改革による労働時間短縮の効果で16年に比べると1.4%上昇したものの、先進7カ国(G7)のなかでは1970年以降、最下位の状況が続いた。72.0ドルだった米国の7割弱の水準だ。
引用:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39142430Z11C18A2EE8000/
─ YODOQの見方───────────────────────────
先進国で日本は労働生産性が低いという情報はこれまで幾度となく言われて来たが、本当にヨーロッパ諸国と比べてそこまで生産性が低いということですが、本当に日本人は仕事が出来ないのか、納得できない所があり、調べてみることにした。
まずはこの生産性が米ドル換算であることと、GDP(国内総生産)を総労働時間(就業者数×労働時間)で割って出されている。国民1人当たりGDPを各国通貨からドルに換算する際は、実際の為替レートでみると変動が大きいため、OECDが発表する物価水準の違いなどを調整した購買力平価(Purchasing power parity/PPP)を用いている。
(1)基本的に円安になればなるほどドル換算の労働生産性は落ちる。
為替変化は物価により調整しているとはいえ労働生産性に影響を与える為、円安基調の昨今生産性が落ちていることは1つの原因と言える。
(2)商品・サービスの質は労働生産性を落とす要因になる。
日本の様々なサービス・商品は世界でも有数であると他の国々から評価されている。飲食店では質の良いサービスが低価格で提供されている。どのような商店でもお釣りが無いという所は無く、非常に丁寧なお客様対応がなされる。これらにかかるコストはお金にかわっておらず、労働生産性を下げている。
(3)完全を求める仕事の仕方が労働生産性を落としている。
コンビニレジ・銀行の違算に対する対応で1円でも違えは従業員総出で数えなおしたり探したりすることは有名ですが、非常に生産性の低い行為である。
またレポート作成・提案書作成などで全角・半角の違いを上司に指摘され修正し直したり、作成者も細かな校正を行うことで時間を要したりする。このように100%の精度を求めていくと途方もないコストを要するようになり労働生産性を下げる要因となる。
(4)労働市場の流動性が低いことが労働生産性を落としている。
日本では会社側が、正社員の従業員を解雇するためのルールがわりと厳しく能力の低い人材も雇用し続けなければならず、不得意な仕事に回したりすることで余計に労働生産性を下げる結果になっている。本来は自身に向いた仕事を選んで転職することが望ましいがそれができにくい環境にある。
以上のようなことが労働生産性を下げている原因であると考えられますが、これは 構造的な問題ですので、個人個人の働き方の問題ではない。
それではこれらすべてが悪いのかと言うとそういうわけではないと考る。日本では、オイルショックやリーマンショックなどの不況期においても街に失業者があふれることなく過ぎ去った。これはある意味のワークシェアリングが行われたと考えられ、格差が広がることを抑止する効果があった。また、日本のサービスが世界に評価され、観光客が激増していることはある意味労働生産性が低い手厚いサービスによるところが大きい。日本の製造業が評価されているのも完全主義である働き方によるところが大きいのではないかと考えられる。
つまりはそのような良いところをサービスや商品に転嫁していかないといけない。また従業員の適材適所を考え直し労働市場の流動性を図る。完全主義の考え方をケースごとに最適化する必要がある。