東京2020大会オリンピック公式チケットの販売概要を発表

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、2019年1月30日、東京2020大会オリンピック公式チケットの販売概要を発表しました。
2019年春に、東京2020大会公式チケット販売サイトで抽選申込を開始(先行販売)。2020年春以降には、販売サイトに加え、都内に設置予定のチケット販売所や公式リセールサービスでもお買い求めいただけます。
気になるお値段ですが、同じ競技でも予選、決勝、席によってかなりの差があります。主な競技の価格設定をみてみますと。

・開会式    1万2千~30万円 
・水泳(競泳) 5800~10万8千円
・陸上     3千~13万円(100m決勝)
・体操     4千~7万2千円
・バスケット  3千~10万8千円
・サッカー   2500~6万7500円
・クライミング 3千~1万2500円

そして、その売上金額ですが、組織委員会はオリンピックで780万枚、パラリンピック230万枚の計1010万枚の販売を見込み、820億円の売り上げを目指している。
とのことです。

引用:東京2020大会オリンピック公式サイト  
 
─ YODOQの見方───────────────────────────

このチケット販売額の820億円という数字は、それだけ見るとすごいと思いますが、国の一大イベントとしては心もとない金額です。
そこで、オリンピック全体の収支、経済効果というものについて調べました。

・収支
組織委員会の収支は、収入6000億円、支出6000億円で、収入におけるチケット売上はわずかで、そのほとんどをスポンサー収入によっています。これに、東京都(6000億円)と、国(1500億円)の負担金(収入)と、そこから支出される経費(主なところで設備、建築物)を加味すると、収入、支出の予算はともに1兆3500億円になります。しかし、日本のGDPは約500兆円ですから、そのうちの1兆3500億円とは、それほど大きなお金が動く感はありません。

・経済効果
大会招致が決まった2013年から大会10年後の2030年までの18年間で約32兆3千億円と試算されています。ここには、観光、インフラ、物販等、関連する効果が含まれています。こうなるとかなりのお金が動くことが感じられます。しかし、その内訳は32兆円が東京、残り12兆円がその他府県となっています。
今、景気拡大の期間は6年2カ月となり、戦後最も長くなった可能性が大きいと言われていますが、いまいち実感がありません。恐らく関東圏だともう少し好景気感が感じられるのかもしれません。

最後にオリンピック後の景気について、考えてみたいと思います。
噂では、オリンピック後は景気が減退し、失業者であふれるといったことも聞かれます。先の東京オリンピックのとき、開催3年、2年前には前年と比べて10%を超える経済成長率を記録し、開催年の経済成長率は11.5%でした。しかし、翌年には5.1%と落ち込んでいます。オリンピックに関連した投資の増加による伸びと、それが終った後の減退が顕著です。
しかし、最近行われた先進国での例を見てみると、

1996年 アトランタ 前年 +2.7% 開催年 +3.8% 翌年 +4.5%
2012年 ロンドン  前年 +1.4% 開催年 +1.5% 翌年 +2.1%

成熟した先進国では、開催前後での変化はほとんどなく、オリンピック特需と、それが終った後の景気の後退も見られません。今回の東京オリンピックの経済成長率も、前年 +0.9% 開催年 +0.3% 翌年 +0.5% という予想になっていました。

ということで、オリンピック前、後での景気の変動はそれほどないとされており、オリンピック後の景気の後退はあまり心配することもないようです。と同時に、今や十分な経済活動がされている先進国においては、何かのイベントを誘致したとしても、その経済効果を過剰に期待することもできないようです。

参考:東京オリンピック収支
   経済効果について