インドから上陸「不動産業界のアマゾン」の正体

インドのホテル運営会社OYO が始めた賃貸事業です。
敷金・礼金・仲介手数料は無料、契約手続きはすべてスマホで完結。不動産屋に出向くことはおろか、紙での書類のやり取りも一切なし。賃貸住宅にもいよいよIT旋風が吹き始めた。
仕掛けたのはインド発のホテル運営会社OYO(オヨ)だ。OYOはインドのほか、インドネシアや中国、イギリスなど世界8カ国で事業を展開する。日本ではヤフーと共同で「OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN(商標:OYO LIFE)」を設立した(OYO66.1%、ヤフー33.9%出資)。
日本ではホテルではなく、賃貸住宅事業に進出する。
OYO LIFEの賃貸事業では、面倒な手続きをすべてすっ飛ばした。Webサイト上で入居したい住宅を選んで必要事項を入力するだけ。保証人は不要、保険や光熱費の契約もOYO LIFEが行い、部屋には家具家電が完備され、身一つで引っ越しが可能だ。サイト上には都心部を中心にワンルームマンションなどが数多く表示され、3月中に1000部屋の取得を掲げる。
家賃と共益費、そして退去時の清掃費以外は原則として費用がかからない。つまり敷金や礼金、仲介手数料は無料だ。狙うのは、自分のライフスタイルに合わせて住居を転々とすることに魅力を感じる若い世代。退去にかかる金銭的、時間的コストを最小限に抑えることで、春は桜の見えるところ、夏は海に近いところといったように、気軽に住み替える需要を掘り起こす。
OYO LIFEの特徴は、物件の貸し主と借り主とをつなぐ「仲介」ではなく、自ら物件を借り、それを転貸する「サブリース」を採っている点だ。実は、これが契約の電子化を達成するためのカギとなる。
これまで不動産業界で電子化が進まなかった理由は、賃貸借契約が法律でがんじがらめに規制されているためだった。宅地建物取引業法(宅建業法)は物件概要や契約条件などが記載されている「重要事項説明書(重説)」について専門の資格を有した宅地建物取引士が対面で説明しなければならないと規定しており、これが電子化を阻む要因となっていたのだが、これはあくまで「仲介」の場合だ。物件の貸し主が直接借り主とやりとりする場合には、宅建業法の射程外となり重説の必要はない。
ただし、制約もあって基本的な契約期間を30日~90日としている。30日未満だと旅館業法に抵触しかねない、90日を超えると「一時使用目的の建物賃貸借」と認定されないリスクがある。逆に言えば、その隙間をついたアイデアとも言える。

引用:東洋経済ニュース 2019年3月10日

─ YODOQの見方───────────────────────────

私が注目したのは、信用保証という点についてです。
不動産の賃貸や金融業からの融資を受ける場合などには、連帯保証人をつけるのが一般的です。これは言うまでもなく何かあったときに支払、返済を連帯保証人に依頼できる、強制できることでそのリスクを担保するためです。
賃貸契約がネット上で完結されてこなかったのは、記事にもあったように法律の規制に加え、この信用保証という点にあるのではないかと思います。
OYO LIFEが保証人なしで契約するための担保をどう補っているのか、この点を指摘している記事、資料を探したのですが見当たりませんでした。誰もここに疑問を持たない?
そこで、自分なりの意見を述べたいと思います。
・まず、他より20%ほど高い家賃を、そのための原資として考えているのではないか、ということが想像できます。
・さてもう一点ですが、最近の風潮において、信用の敷居が低くなっているような気がしています。
ネット通販やフリマ(オンラインショッピング)は、金銭授受においてはクレジット会社がそれを担っています。しかし、商品そのもの、それが配送されてくるのか、という点については、かなり曖昧に取引がなされているような気がします。(利用規約をよく読んだ覚えはないのですが)
恐らく、その部分は、買う者の自己責任というのが、通例になっているのだと思います。自分も何度か失敗したのですが「まあ仕方がない」と割り切っています。
もちろん、そんな曖昧なことで事業が成り立つわけはなく、OYO LIFEはそのリスクを数値化した上で商売をしているのだとは思いますが。
しかし、オンラインショップに代表されるネット上の取引、顔が見られない取引が、個人への信用、個人の責任を前提としていることは確かなことではないかと思われ、その成熟が不動産契約という日本ではかなり「重い」取引のIT化を可能にしたのではないか思います。