軽減税率レジ、中小企業の4割未着手

日本商工会議所は、10月の消費税増税前の中小企業の対応状況を公開した。外食・酒類を除く飲食料品の軽減税率レジの導入が、中小企業の40.1%で未着手だと明かした。これらの調査は、2019年5月上旬~6月上旬にかけて中小企業3305事業者に対して行われたものである。さらに、未着手の割合は小規模の事業者ほど多く、売上高1億円以上の事業者のうち未着手は20.6%、5000万円以下の事業者のうち未着手は45.5%であった。

引用:YAHOO!JAPANニュース 『軽減税率レジ、中小の4割未着手 消費税引き上げ対応、日商調査』

─ YODOQの見方───────────────────────────

日本で軽減税率が導入されるのは初めてであるが、世界全体でみると軽減税率は一般的に行われている。OECD加盟国34カ国のうち、日本、デンマーク、ニュージーランド以外のすべての国で軽減税率か、軽減税率と同等の取り組みが行われている(2016年時点)。また、今回、日本でとり上げられている食料品だけでなく、不動産や土地の売買、医療、教育、保険など生活必需品に近い分野で軽減税率が施工されている傾向にある。
特に特徴のある3カ国の軽減税率を紹介すると。

【フランス】
フランスは世界で初めて消費税を導入した国で「消費税の国」と呼ばれている。標準税率は世界と比較すると高いが、税金を国の福祉などに充てているため、増税の際も反対意見が少なかったことで知られている。
フランスで採用されているユニークな軽減税率は世界三大珍味においてである。世界三大珍味はご存じの通り、キャビア・フォアグラ・トリュフの3種であり、一般的には贅沢品に分類され、軽減税率は適用されないはずだ。しかし、実際にはフランスでは、フォアグラ・トリュフの2種には軽減税率が適用されている。なぜ世界三大珍味の中で適用範状況が変わるのか、答えはこうだ。フランス国内において、キャビアは輸入で賄っているが、フォアグラ・トリュフは国内で生産している。国内産業を守るために、フォアグラ・トリュフは軽減税率を適用している。

【ドイツ】
日本でも、2019年10月からの軽減税率対応に伴い、テイクアウトとイートインの税率の違いが問題視されている。ドイツも同様にテイクアウトとイートインで軽減税率を分けている。テイクアウトには軽減税率が適用され、イートインには適用されないのだが、その理由は次の通りだ。一般的にイートインを行うと、食品をお皿に盛る、温める、食器を洗うなどのサービスが付随する。しかし、テイクアウトだとこれらのサービスは発生しない。そのサービスの負担が減る分、テイクアウトには軽減税率を適用している。

【アメリカ】
アメリカは、法律と同じように、税率についても州によって異なることが多い。多くの州では、ドイツのテイクアウト、イートインの差に似てはいるものの少し異なる税率制度を採用している。この税率制度の考え方は「手を掛けたら贅沢品」であるというものだ。イートインにはサービスが付随するため、軽減税率が適用されないことはもちろんのこと、テイクアウトでも、例えば、温める、混ぜるなど、販売されている状態から消費者にわたるまでに、一度でも店員などが手をかけた商品は贅沢品とみなされ、軽減税率が適用されない仕組みとなっている。
また、アメリカには他にもユニークな軽減税率を適用している州がある。それは、期間限定や時間限定の軽減税率である。新学期の期間だけ教育関連の商品に軽減税率を適用したり、朝の時間帯のコーヒーに軽減税率が適用される州も存在する。

2019年8月現在、システム業界は軽減税率対応に追われている。8%と10%の2種類の税率が混在する状況に混乱しつつも、世界を見るとさらにややこしい税率があることを知り、2種類程度ならしっかり対応したいと感じた。また、軽減税率対応が遅れている状況を見て、まだまだ店側の軽減税率の理解が甘いのではないかと感じた。