高齢者の転倒や転落は交通事故の約2倍!

平成28年に厚生労働省が実施した国民生活基礎調査によると高齢者が支援を必要とする原因の上位は「認知症18.7%」「脳血管疾患15.1%」「高齢による衰弱13.8%」で、4番目が「骨折・転倒」との結果でした。
また、高齢者の場合、転倒や転落は死亡に至るリスクが高いだけでなく、それが原因で歩けない期間があると筋力や身体機能が衰えたりします。特に大腿骨骨折などになると、歩けるようになるためのリハビリにも時間を要し、そのまま寝たきりの生活を余儀なくされることもあります。もともと、高齢になるに従い、筋力の低下や関節の可動範囲が狭くなるため、どうしても転びやすくなるそうですが、日本頭部外傷データバンクによると高齢者は転倒したときに頭の血管が切れやすいという特徴があるとのことです。

引用:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190729-00012369-toushin-life

参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/

─ YODOQの見方───────────────────────────

高齢者にとって転倒は要支援や要介護になってしまう危険をはらむため、政府もロボット介護機器の開発を推進しています。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センターの中にある健康長寿支援ロボットセンターでは、高齢者の自立した生活を支援する介護ロボットなどの研究・開発が行われており、高齢者の転倒の原因究明と対応策の研究も進められています。病院が蓄積した3400件の転倒事故の記録をAIで分析した結果、転倒の約41%は尿意が原因であることが判明したため、患者さんのストレス状況から尿意を感知し、トイレに行くのを補助するロボットを開発しました。現在は効果の検証中とのことです。
また、高齢者の歩行を補助するものとして価格も手ごろで場所もとらないものと言えば先ず杖が思い浮かびますが、心情的に杖をつくことを嫌がる人もいますし、意外にとっさの時に踏ん張りがきかなかったり、杖をつく場所によってはバランスをくずして危険なこともあるそうです。それもあり、安全性を考慮して杖の先が四本に分かれている杖もあります。しかし、人によっては(体の重心が後ろに傾きがちな人等)、杖よりシルバーカー(歩行補助車)や歩行器を医者から勧められることもあります。
そして、介護ロボットを検索するサイトにはロボット技術を搭載したシルバーカー(歩行補助車)も数点掲載されています。ロボット技術で路面状況を検知して自動でアシストやブレーキが働き、急激な速度変化を検知した際は自動的に減速ブレーキが働いて転倒などを防止します。中には、GPSとネットワークを活用して家族が使用者の現在位置や経路を確認できる見守り機能や歩行距離や時間・速度などを記録するヘルスケア機能、転倒した時に登録済みのアドレスにメール送信する緊急通知機能を搭載したものまであります。ただ、シルバーカーや歩行器は段差に不安がありますし、エスカレーターは危険なため遠回りしてでもエレベーターを利用しなくてはいけません。
今後ますます高齢化が進んでいきますが、AIやITの進化で多種多様な介護ロボットも研究開発されていくと考えられます。その中で、使い勝手の良さやコスト面で実用化に耐えられるものが更なる進化を遂げて、手軽に利用されていくのではないかと思います。また、介護が必要になってから利用する介護ロボットだけではなく、自立支援のためのシステムが構築できれば、高齢者本人にとっても家族にとっても喜ばしいことだと思います。そのシステムやロボットが、利用する高齢者本人にとって精神的なハードルが低く積極的に利用したいと思えるものであることを願います。

参考:https://ps.nikkei.co.jp/ibmportal/aging1901/?n_cid=PSDB0012

参考:https://kaigorobot-online.com/