「Go To Eat」オンライン予約のポイント付与、10月から順次
江藤拓農林水産相は10月15日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた飲食業の支援策「Go To Eat」のうち、オンライン飲食予約サイトを通じたポイント付与事業について、10月1日以降、準備が整った委託先の事業者から、各都道府県の意見も踏まえた上で順次始めると明らかにした。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が今月11日、ポイント付与事業の実施方針を大筋で了承したのを踏まえた。会見で江藤氏は「疲弊している外食や中食に十二分な支援のツール(道具)となりうる。客足を戻すのに一定の効果が期待できる」と話した。ポイント付与事業は、オンライン飲食予約サイトで参加飲食店を予約し来店した消費者に、次回以降使えるポイントを与える。ポイントは昼食が500円分、夕食が1000円分。ポイントがもらえるのは2021年1月末までで、利用できるのは3月末までとしている。既に、「ぐるなび」や「食べログ」の運営会社など13事業者が委託先として決定済み。農水省は15日、各事業者が参加飲食店の登録募集を同日から開始できることも発表した。消費者は、10月1日以降に事業を始めた飲食予約サイトで参加飲食店を予約し来店すれば、次回以降に使えるポイントが付与される。参加飲食店に守ってもらう感染症対策は、プレミアム付き食事券事業と同様とした。手指の消毒液の用意や徹底した換気、間隔を空けたテーブルや座席の配置などを盛り込み、農水省が抜き打ちで行う訪問調査に協力することも求めた。
─ YODOQの見方───────────────────────────
利用者や飲食店が本当に得するのかという点が気になり調べた。
結論からいうと利用者にとって得するかは微妙です。13事業者のなかにはよく利用しそうなホットペッパーや一休.com、ぐるなびなどがあるものの、ポイントの付与日はばらばら。ホットペッパーは10月24日以降に予約した場合は来店日から8日以内に、ぐるなびは来店日から7日後、一休.comでは翌月10日となる。ポイントは来年3月末まで使えるため、そこは良いが、次予約する際にポイントがついていないと、ポイントを利用した支払いが出きず、2回以上使わない限りは得したことにはならない。「Go To Travel」よりややこしいと言われている点はやはりそこなのだろう。ポイントも例えばホットペッパーのポイントをポンタポイントには交換できないようになっているため、確実に飲食店でしか利用できない仕組みだ。
次に飲食店にとって得するのかというと損することはないが、得をするのはほんの一握りだと考えられる。
2018年、全国の飲食店運営・経営者に聞いたネット予約を受け付けているかというアンケート(「飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べ)では「受け付けている」が62.4%、「受け付けていない」(電話予約のみ)が32.6%、「予約自体受け付けていない」が5.0%という結果となっている。
飲食店を応援するキャンペーンのため、消費者がある程度の富裕層でないと使えない仕組みなのは仕方ないにしても、これだけの飲食店がオンライン予約を導入していないのであれば救世主になるようなキャンペーンにはならないだろう。
イギリスにも同じようなキャンペーンがある。食事代の半分を補助するという施策だ。また、飲食店などを利用した際に支払う付加価値税という日本で言う消費税も20%であったのを5%に減額しており、そういった点でも利用しやすい制度となっている。また人口はというとロンドンは898(2019)万人、東京23区957万人とそこまでかわらないが、ロンドンのレストランは約2万店あるのに対し、東京23区のレストランは約10万店。ロンドンのほうが飲食店にとっても恩恵を受けやすい状況であると考える。
まとめとして、予約サイトの多くはテイクアウトが対象外であったため、「外食したい!」という気持ちがないと飲食店を応援できない。プレミアム食事券は500円券×7枚、1,000円券9枚でおつりが出ないなど紛失しそうだし使いにくいので、利用者はネット予約を使うのではないだろうか。ネット予約システムがない事業者でも「Go To Eat」対象点に指定されれば、集客に繋がる可能性はありえる。それでも申請をしなければいけないという負担と、先ほどの消費者側の手間を考えると飲食店にとってもあまり恩恵を受けやすいとは言いがたい施策だ。
参考:ヤフーニュース