建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)

AMP Media レガシー産業の代表格「建設業」で、DXは可能なのかーーアナログな受発注のブラックボックス化を打破

建設業界は独特の商習慣や多重請負構造が色濃く残っており、全体として生産性向上の余地が大きい。
他産業との比較で生産性が低い状態が続くと、重労働の割に報酬が少なく、将来の産業の担い手もますます不足するという悪循環に陥りかねない。

大手ゼネコンに代表される発注案件と、中小建設業者の人口のミスマッチをITを使って解消すべく、マッチングシステムが少しずつ導入されてきている。

─ YODOQの見方───────────────────────────

マッチングシステムは発注側、受注側を効率よく結びつけ、受発注業務までを効率よく行うことを狙いとしています。
発注側の案件情報、受注側の空き情報を効率よく配信することは重要だが、「ネットで見つけた相手」に対して契約を行い、仕事を任せることへの抵抗は少なからずあると思います。
また、「腕のいい職人」は次の仕事も依頼できるように抱えておきたいという心理が働きます。結果的に、マッチングシステム上には宣伝が上手だけど、実力・中身を伴わない受託者が上位表示されるような状態になりがちです。

これは建設業に限ったことではなく、マッチングシステムそのものが抱える共通の問題です。
しかしながら建設業界では
・BtoBであること
・受発注側相互に継続して仕事を行っていく
という特徴を考えると、特に「システムでは解消できないレベルの信頼関係」がより重要になりそうです。

ただ、建設業界で非効率な業務が多々あるという事実は変わらないので、今後さらなる工夫でシステム開発、デジタル化の寄与する余地はあるのではないでしょうか。

──────────────────────────────────

■備考
wikipedia 子別れ
落語「子別れ」では酒によって家庭崩壊を起こした大工の熊さんが断酒し、「腕のいい職人」として信頼を集めていく。
こういった状況は何百年も前から変わっていないのかもしれない。