国会議員関係の政治資金報告書 オンライン提出1.13%

国会議員が関係する政治団体が、2019年分の政治資金収支報告書をオンラインシステムを使って提出したのは、1.13%にとどまっていることがわかった。
政治資金規正法は、国会議員が関係する政治団体にオンライン提出の努力義務を課しているが、2005年のシステム導入以来、国は約36億円を投じたが、有効に使われていない実態が明らかになった。このシステムは、総務省の「政治資金関係申請・届出オンラインシステム」で、政治団体が専用ソフトで報告書を作り、総務省や各都道府県の選挙管理委員会にオンラインで提出できるようにするものだが利用率は低い。
2019年分の収支報告書でのシステム利用状況は国会議員関係の政治団体2,546団体中29団体で利用率は1.13%で、全ての政治団体で見ると53241団体中、568団体で利用率は1.06%という結果となっているにもかかわらず、運用には毎年約6,000万円が支出されている。
オンラインシステムの利用率が伸び悩む理由として、システムを利用するためには事前登録や専用ソフトのダウンロードが必要で、膨大な領収書をスキャンする時間や手間がかかることがあげられる。また、対面で選挙管理委員会に提出すれば、その場で誤字や計算ミスを指摘してもらえるという利点もある。

引用:オンライン提出1.13% 政治資金報告書、36億円投入のシステム 国会議員関係の団体、努力義務

─ YODOQの見方───────────────────────────

民間企業が運営するシステムであれば、顧客に利用されなければ淘汰されていくものですが、官公庁や自治体には利用率の低いシステムが見受けられます。
e-Gov(イーガブ)電子申請システムは、国への電子申請を一元的に受け付けるシステムで2006年4月から運用を開始していますが、2015年時点での利用率は8.9%という低さでした。このシステムの利用率があがらない理由は認知度の低さ、システム導入のためには電子認証を取得する必要があったり、企業の状況によっては電子申請と紙での手続きが同時に発生する場合もあったからです。
しかし、2020年4月から特定の法人を対象としてe-Govを用いた電子申請が義務化されました。また、外部連携APIが2015年4月から開始されe-Gov対応の労務管理システムもいくつか販売されています。

他にも、会計検査院の平成30年度決算検査報告では、情報通信技術利活用事業費補助金による事業により導入したシステム62事業が検査対象となった結果が報告されています。
・導入したシステムの全部又は一部が休止・遊休化等している事業数及び国庫補助金交付額
5事業 9,972万円(平成26年度~28年度)
・導入したシステムの利用が低調となっている事業数及び国庫補助金交付額
6事業 7,916万円(平成26年度~28年度)
コストや手間をかけて導入したシステムであっても利用されなければ、無駄なってしまいます。なぜ、そのようなことが起こってしまうのでしょうか。

考えられる理由
・システムが使いづらい
・利用するための手続きが煩雑
・システム自体の認知度が低く、メリットを理解してもらえていない
・利用コストが高額

システムの使い勝手や利用するための手続きに関してはシステムの開発者が設計段階で利用者のニーズや現状での問題点、目指すところを注意深く聞き取り、フローを想像することで回避できるでしょう。その上でナビゲーション機能の実装などで、より簡単に操作できるシステムになり、挫折せずに継続的に利用してもらるシステムとなるのではないかと思います。
また、実際の利用者の声を聞き、必要な改修を行うことでより使いやすいシステムとなり、利用者の増加にもつながるのではないでしょうか。

参考:egovの普及率と義務化の動きをチェック
参考:会計検査院 平成30年度決算検査報告