個人と農家をつなぐ農How(ノウハウ)
農How(ノウハウ)は自動車・汎用機器などの部品の製造販売事業を行っている武蔵精密工業株式会社の社内公募型スタートアップである「新規事業創出プロジェクト」から誕生した株式会社アグリトリオが運営するプラットフォームで、人手不足の農家と農業の仕事をしたい個人をマッチングするサービスです。農How (ノウハウ)には3つの特徴があります。
1.作業のポイントが事前にわかる
農家さんと協力して農作業をするための適した服装や準備するものにはじまり、作業の内容を全て動画や画像つきの資料としてマニュアル化することで、仕事をする人は事前に仕事内容を確認した上で安心して応募できます。
2.農家さんと働き手をマッチングできる
農業は繁忙期や収穫時など時期によってスポット的に人手が足りなくなる場合があります。継続的に人を雇うことはコスト的に難しい農家さんのスポット需要を汲み上げ、応募者は働きたい時間や場所を選択して応募することができます。
3.現地ですぐにお手伝いができる
応募者は事前にマニュアルを見ているため、スムーズに作業に取り掛かれ、仕事を依頼する農家さんは違う人が来ても毎回同じ説明をすることに時間や手間をかける必要がなくなるため、双方にとって効率的です。
システムの利用料は双方ともに無料ですが、農家さんが農How(ノウハウ)を利用して雇用する際に1時間につき300円の手数料が発生します。
参考:http://agritrio.co.jp/nouhow/
─ YODOQの見方───────────────────────────
日本の農業には、深刻な人手不足が課題としてあがっており、その人手不足を解決するべく立ち上げられたマッチングサイトが他にもあります。
第一次産業ネット
https://www.sangyo.net/
地域や業種・職種から絞り込め、仕事を検索することができます。
一般的な会社と同じような給与・待遇で会社員として農業に従事できる会社を探すこともできます。寮完備で数ヶ月という短期のアルバイト求人もあり、遠方からの応募が可能です。また、農業だけでなく林業や漁業、酪農や造園業など多彩な産業の仕事も掲載されています。
アグリウィズ
https://agri-with.com/
農作業の依頼だけでなく、農機具の売買や貸し借り、農作物の売買、販促物のデザインまでをマッチングするサービスです。
ユーザー同士が直接代金のやり取りをせずに、アグリウィズが仲介することでトラブルを未然に防ぐことができます。また、事前にシステムに登録しているユーザーのため、身元が保証されているので安心してやりとりができます。農作業請負サービスには「賠償責任保険」や「傷害保険」が付帯しているので万が一の事故の際には保険金が支払われます。
このように、マッチングサイトは企業と働き手をただ単にマッチングするだけではなく、プラスαが大切なのではないかと思います。
農How(ノウハウ)は、その名の通り、親会社である武蔵精密工業株式会社が製造業で築き上げた生産作業のマニュアル化技術を活用して作るマニュアルを掲載している点がアピールポイントです。農業初心者が見ても「これなら私でもできる」「空いている時間でやってみたいな」と思わせるようなわかりやすいマニュアルを掲載しているのがみそで、農作業をアルバイトとして選択することへのハードルが下がり、登録者数の増加に繋がっているのではないでしょうか。
後続のマッチングサイトであればあるほど、他との差別化を図り、企業側・働き手側双方の登録者数を確保するためには、双方が望むことや付加価値を追加する必要があります。しかし、過度な費用がかかることであれば運営に支障をきたしたり、利用料が高額になる恐れがあります。上記のマニュアルであれば一度作成すれば毎年使用できますし、同じ作物であれば特定の農家さん独自のものでなくても対応することができるでしょう。
自社の強みを活かし、利用者が望むプラスαを提案するためには、サイトの利用者になりうる潜在顧客が望むことを想像する力やマーケティング力が重要になると思います。