Starlinkの個人向けプラン、日本列島のほぼ全域で利用可能に
米SpaceXは11月4日(日本時間)までに、衛星インターネットサービス「Starlink」の個人向けプラン「レジデンシャル」を、日本列島のほぼ全域で利用可能にした。日本でのサービスを開始した10月当初は、関東、新潟北部、東北、北海道南西部のみに提供していた。当時は札幌市・山口市が「順番待ち」で、その他日本全域が「近日提供予定」だったが、11月4日時点では沖縄県や小笠原諸島などを除く日本列島全域が対象エリアになった。
Starlinkは人工衛星を使い、地上の通信インフラが未整備な場所でもインターネットサービスを提供する。レジデンシャルプランの場合、料金は月額1万2300円。専用アンテナやWi-Fiルーターを含む「Starlinkキット」(7万3000円)も別途必要になる。
引用:Starlinkの個人向けプラン、日本列島のほぼ全域で利用可能に
─ YODOQの見方───────────────────────────
starlinkとはなんぞや、ということでstarlinkとは何なのか、starlinkが社会にもたらす影響などを調べた。
〇starlinkとは
アメリカの民間企業スペースX社(CEO:イーロン・マスク)が運用している人工衛星を使った通信サービス。従来の高軌道衛星を使った通信に比べ、遙かに軌道が低い低軌道衛星を使うため、高速で低遅延な通信が可能なのが特徴。サービス提供エリアでは、直径55センチメートル程度のアンテナで通信衛星と電波を直接やり取りして、山間部などの地上の通信インフラが未整備の地域でもインターネットに接続できる。持ち運び可能な専用の地上アンテナを使うことで通信の届かない山間部などでも高速なインターネット回線を利用できる。地上での大規模なインフラが不要なため、通信インフラが破壊されたウクライナにイーロン・マスクCEOがアンテナを大量に提供したことで話題になった。
参考:スターリンク、日本でサービス開始。アジア初
<実際にサービスを利用した Aさんの話>
商品到着までにStarlinkアプリをインストールし、セットアップを開始。アンテナを設置するのに最適な場所かどうかを確認できる機能があるため、ベランダに出てiPhoneのカメラを天にかざして試してみると、32.46%もの障害物(庭の木)があるとの診断だった。業者に連絡すると、対応するためには初期費用にオプションをつける必要があるとのこと。そもそも取扱説明書には障害物がある場所での設置はだめとの記載が書かれている。すでに日本で設置している人は屋上に直置き。屋根や壁に設置するための設備はStarlinkのサイトから購入しなければならない。
参考:SpaceXユーザーになりました。日本進出した高速・低遅延の衛星インターネット「Starlink」に加入してわかったこと(CloseBox)
実際に購入してみた人の話から、個人が設置するためには相当な条件をクリアする必要があるため、日本に浸透させるためには時間がかかるのかなと感じた。また、設置するために、Aさんは庭の木を伐採して設置を試みようとしていたことにStarlinkに対して一つ疑問を感じた。それは「山間部などでも高速なインターネット回線を利用できる」と評価されていたが、設置するために森林伐採などの問題が起きてしまうのではないかということ。この問題はあくまでも私が感じたことだが、実際はどうなのかを少し調べていきたい。
〇森林伐採などほかの問題が出てくる可能性は?
starlinkのアンテナは、衛星と接続し続ける必要があるため、設置場所が問題となっている。木や建物、電柱などによって空がさえぎられている場合、Starlinkの通信が途切れてしまうとのことで、「地平線から25度以上の角度で空を遮るものがない円錐状の空間」を確保できる場所に設置することが望ましいとされている。
そういったアンテナの設置のために木を伐採してしまったりするのが問題になるのではないかと考えたが、興味深い記事を見つけた。それはアマゾンの熱帯雨林における違法な森林破壊を監視できるという内容だ。ブラジル政府は、遠隔地(学校や病院)のネット接続や森林保護を目的として、SpaceX社と提携。つまりStarlinkは森林火災や違法な森林伐採の監視など環境破壊の問題に立ち向かっていることが分かった。設置する場所の問題は確かにあるが、環境問題に対応できるというリターンが大きいのではないかと感じた。また、より世界に浸透すると、持ち運びが可能なため、ウクライナでStarlinkのサービスを開始したように、緊急時などでもうまく活用することができると、助け合う社会が実現できるのではないか。
参考:ブラジルがスペースXと提携、遠隔地のネット接続や森林保護で
〇まとめ
Starlinkというものを調べてみたが、通信の届かない場所でインターネットを利用できることで、たくさんの社会問題(環境問題、災害時などの利用)を解決できる素晴らしいものだということが分かった。しかし、まだまだ課題が残っている。それは人工衛星を多く打ち上げるために宇宙観測の障害物になってしまうことや、アンテナの設置場所(自然災害対策)などある。これらの課題をどのように解決されていくのか、これからの進展を見守っていきたい。