映画「カメラを止めるな!」に盗作疑惑?そこから見える言葉の違い

映画専門学校が製作し、異例の大ヒットになっている映画「カメラを止めるな!」について、21日発売の週刊誌が盗作の疑いがあると報じている。
同誌によると、劇団を主宰していた男性が、映画の構成は自身の舞台と「まったく一緒」と主張。著作権が侵害されたとして映画の製作側を訴える準備を進めているという。同誌は、映画と舞台の類似点を15カ所指摘している。
これに対し、作品を製作した専門学校が同日、文書でコメントを発表。映画は男性の劇団の舞台に「着想を得て企画・製作されたが、ストーリーは全く別物で脚本の内容も異なる」と主張。「記事の見出しに掲載されているような、法的に著作権侵害が生じていたり、舞台をパクったといった事実は一切ございません」と説明した。

引用:http://www.sankei.com/entertainments/news/180821/ent1808210005-n1.html

─ YODOQの見方───────────────────────────

度々問題になっている作品の類似やら盗作が様々な言葉で表されているが、その違いについてまとめてみた。
まずひとつは、問題の記事でもよく耳にする「原案」と「原作」の違い。考え方の一つとして「お金が絡むかそうでないか」という違いがある。セリフや物語の展開などに類似点が多いか、もしくは元になる作品があって、それを前提としてストーリーがあるものを「原作」とし、使用料が発生するそうだ。対して、あくまでもモチーフであり、直接の関連性がないか、オリジナルの要素が多いものを「原案」とされて、使用料はかからない。多くの場合、「原作」なのか「原案」なのかは話し合いなどで決まるのだが、原作はそれだけお金をかけているから良いとか、原案はオリジナル要素が強いからだめだとか、言葉だけで判断するのは難しい話だ。

参考:有村昆、原案と原作の違いは「使用料」の有無「ここが一番大きい」
https://www.daily.co.jp/gossip/2018/08/22/0011565790.shtml

参考:映像作品における、原案と原作の違い
https://note.mu/shachi/n/n27469a11e1e9

もう一つは、「オマージュ」「パロディ」「パクリ」の言葉の違い。2015年に問題になった東京オリンピックのエンブレムも有名な話だが、イラストやデザインのトレース問題などもよく話に聞く。そこでよく言われる「パクリ」とは、作品を勝手にそのまま使用することだ。対して「オマージュ」は作品を尊敬して、元となる作品の設定や話と似たものを作ることとされている。例えば「エヴァンゲリオン」や「北斗の拳」だったり、宮沢賢治の小説にある「吾輩は猫である」をオマージュとした「吾輩は○○である」というような作品などかなり多く存在する。
「パロディ」は、元となる作品を引用し、面白くするためのネタとして使用することだ。ギャグ系の作品に多く使用されていて、「銀魂」「ポプテピピック」「おそ松さん」「妖怪ウォッチ」などがあげられる。

参考:【パクり問題】「パクリ」「オマージュ」「パロディ」の違いとは?簡単にまとめてみた
http://wating-for-1.net/wp/hommage/

参考:アニメの「オマージュ」と「パロディ」 そして「パクリ」の間にある違いとは
http://news.nicovideo.jp/watch/nw566117

最初の記事に当てはめると、本来ならオマージュ(原案)としてとらえられる「カメラを止めるな!」だが、元となる作品の作者からすると、オマージュとして見るにはその意図が微妙だ(パクリに近いパロディ)と考えられる。
自分の作品にどれだけ思いが込められているか、込められているならパクリなんじゃないかといわれたとしても、ある程度は納得のできる説明ができるのではないだろうか。