台風21号による関空閉鎖の影響

台風21号は、関西を中心とした幅広い企業の活動に影響を及ぼした。
とりわけ被害が大きかったのが関西国際空港。5日も閉鎖が続き、滑走路の他、対岸を道路と鉄道で結ぶ連絡橋の完全復旧のめどは依然立たないまま。
関西を代表する国際空港の停止が長引けば観光や物流への打撃も必至で、個人消費を中心に回復の歩みを続けている日本経済に冷や水を浴びせかねない。
特に物流網の打撃が大きく関空からの29年の輸出額は5兆6439億円。
閉鎖が長引けば、輸出への影響が避けられず、クボタは関空から米国などの工場に輸出している農業機械向けの機械部品を成田、羽田両空港からの
供給で代替するルートを確保した。

引用:https://www.sankei.com/economy/news/180905/ecn1809050032-n1.html

─ YODOQの見方───────────────────────────

今回、大阪・神戸の湾岸エリアは、倉庫や空港の上屋、港のCYなど関空、大阪・神戸港などから輸出入を行っている企業は軒並み大打撃を受けています。
具体的にどのようなことが大打撃になっているのかというと製造メーカーでは、関空から輸出する製品の生産工場は中部より西側に立地していることで、振替先が成田、羽田になるとそこまで運送するトラック便の手配が必要で庸車便や定期便が元々確保されている訳ではないので、便待ちや運送コスト増加の影響がまず1点目です。
次に報道されている内容ですが、振替先空港が混雑してしまうので希望する便に乗せられないことが発生し、それによる納期遅れなどの影響が2点目です。
また、関空の強みである早朝深夜の国際物流便の就航が他の空港では制限されてしまうので、それを期待して夕方までに製造して出荷することでアジア圏に翌朝には到着出来ていたがそれが出来なくなるという影響が3点目です。
もう一つ大きい点が通常、輸出では便が出航する数時間までにInvoice、PackingList、輸出許可書やその他品目によって必要な通関書類を揃えて、通関手続きを行います。
ほとんどは関空から出すよと記載された書類になっているのでこれを毎日、成田、羽田、セントレアなどに変更しないといけないので書類を大量に変更しなければなりません。その変更は各企業でどうされているのかは個々にはわかりませんが、物流部門の方が苦労されているということが4点目です。
ちなみに税関官署については、所轄の税関ではなくても利便性の良い税関に申告することが出来るよう税関官署が柔軟に対応してくれているようです。
その影響で税関や通関業者(Forwarder)も臨時の対応などに追われて、忙しい状態が続いているかと思います。

これら4点については輸入についても同じような事が言え、資材調達も思った通りの納期で資材が入って来ず、生産ラインや国内販売に多大なる影響をもたらします。

我々、システム構築側としてはこのような事態を想定した業務運用を検討出来ていないことが多いです。
システムに組み込むとコストが掛かり、発生確率も予測出来ない為、検討したとしてもお客様に費用を出してもらう為の説得が出来ないということが一番大きいかと思います。
しかし、現実には災害などは起こりうるので、もしもの事態を想定し、災害などで被害を受けた部分を回避した業務運用をお客様と共に検討し、お客様への影響を極力少なく出来るよう業務システムを構築しなければいけないと改めて考えさせられました。