なぜ日本の若者は海外を目指さないのか
日本人の海外留学者数が減り続けています。それは、よく言われているような「若者の内向き志向」だけが理由ではないようです。グローバル化に対応できない日本社会の制度や意識、そして教育環境も、学生たちが外国で学ぶことに消極的な要因となっています。
引用:https://www.nippon.com/ja/currents/d00390/
─ YODOQの見方───────────────────────────
日本人の海外留学生が激減しているという記事をよく見かけます。たしかに最近の若者はチャレンジ精神が低いようにも感じます。しかし本当のところはわからないためデータできちんと示している情報が無いかと考え探してみました。
色々な意見がありますが多くは、
・若者の内向き志向
・スマホゲームなどが普及し外に出なくなった
・留学が就職に評価されない
・テロなどの危険を避ける傾向
・経済的な理由
・就職活動とのバッティング
などがあげられます。
日本人留学生が減っているという根拠としてOECD(経済協力開発機構)のデータがよく取り上げられています。
2002年~2004年をピークとして8万人を超えていた留学生が2015年には6万人を切っていて、実に3割程度が減少していると読み取れます。
しかしながら、留学適性年齢を18歳頃と見た場合、2002年~2004年の間で18歳から20歳の人口は430万人に対して2015年~2017年に18歳から20歳となる人口は357万人であり、対象人口自体が17%減少しています。
人口減少比率と比較してもそれ以上に留学生が減っているようにも見えます。しかしながら、OECDのデータは海外の大学や大学院等の高等教育機関に留学した日本人の人数や、日本国内の大学経由で留学をした学生の人数しか計測されていない側面がありました。
大学のプログラムを利用せずに留学する学生や中高生の留学、社会人の語学留学を含めればどうなるのでしょうか。
結果は大きく増加していることがデータとしてわかりました。OECDのデータでの6万人に落ち込んでいるというデータから一転し、2017年には20万人を超えようとしているとのことです。
傾向をデータでつかむことは重要なことですが、結果ありきのデータ引用は危険であり、国家戦略を誤る原因にもなりかねないというよい例だと考えご紹介しました。
参考:日本人の留学生数は社会人を含めると 20 万人超も視野に
一般社団法人海外留学協議会(JAOS)による日本人留学生数調査 2017【PDF】