大阪ダブル選で合同討論会 「成長できる」「分権に反する」都構想で真っ向対立
大阪府知事・大阪市長のダブル選を前に、知事選に立候補予定の吉村洋文市長(43)と自民党擁立の小西禎一(ただかず)氏(64)、市長選に出馬予定の松井一郎知事(55)と自民元市議の柳本顕氏(45)は18日、同市内で開かれた毎日新聞、朝日新聞、産経新聞の在阪3社主催の合同討論会に出席した。
大阪市を廃止・再編する大阪都構想の再挑戦を掲げる維新の2人に対し、自民の推薦を受ける2人は真っ向から反対し、最大の争点で政治信条の違いが浮き彫りになった。
吉村氏は「成長戦略を描く司令塔を制度的に一本化し、都構想を実現した方が成長できる」と主張。松井氏は「東京一極集中は心もとない。東京と切磋琢磨できる行政制度が都構想。最終的には住民の皆さんに判断いただきたい」と訴えた。
これに対し、小西、柳本両氏は「都構想に終止符を打つ」とした。小西氏は「地方分権に反する。東京への一極集中は首都機能があるからで、制度とは関係ない」と指摘し、柳本氏も「市の分割で無駄なコスト、新たな負担が生じる。住民サービスの低下を導く」と反論した。
引用:<毎日新聞>
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190318/k00/00m/010/236000c
─ YODOQの見方───────────────────────────
大阪都構想について、改めて整理し、まとめてみました。
■大きな柱
大阪都構想は
1.広域行政を現在の大阪府のエリアで一本化する
2.大阪市内に公選の首長を8~9人置き、住民に身近な行政サービスを担わせる(区長公選制)
というのが大きな柱です。さらにその流れで大阪市役所改革も大目標に掲げています。
■広域行政の一本化について
大阪の広域行政を一本化し、広域行政にかかわる財源を一つにまとめて、大阪全体のグランドデザインのもとに財源を集中投資する。大規模な二重投資を一掃し、世界の中での都市間競争に打ち勝つ政策に一本化する。
企業活動を活性化させる空港、港湾、高速道路、鉄道のインフラを整備し、人材を獲得しやすいよう大学等の教育機関の競争力を高める。従業員が暮らしやすいよう、病院や初等教育機関を整える。さらに、法人税の減税、規制緩和などを軸とする特区を設定する。また観光客を世界から集め、大阪で消費してもらう。
大阪全体のGDPは約40兆円で、2015年統計で世界第4位。しかし、2030年予測ではトップ10から落ちると予想されています。
人口は大阪全体で約900万人。ロンドンよりも人口規模は大きく広域行政として一本化すれば、世界の都市間競争に打ち勝てる可能性は十分あります。
この目標は、住民に身近なサービスをどうするかという問題ではなく、大阪全体のGDPを上げ、景気・雇用を良くし、 大阪市内のことだけなく、衛星市を含めた大阪全体を成長させる切り札が、広域行政の一本化です。
■区長公選制について
大阪市内に8~9人の公選の首長を置くことのメリットは、その仕組み自体が住民にとってメリットになると説明されています。
具体的に住民サービスがどうなるこうなるではなく、公選の首長を置くことで区の行政サービスが向上していくということです。
現在、大阪市内の区長が役人区長であることから、区長の裁量予算は数千万円しかないそうです。
大阪市内には10万人規模や、大きいものであれば20万人規模の区が存在し、その規模であれば、日本全国に存在する市町村と比べても、かなり大規模な市に該当します。これだけの独自予算では、区内で良いサービスを実現するといっても限度があります。
例えば、区内の小学校の設備の修繕で、区独自予算では直せない場合は大阪市にお伺いを立てなければならず、承認・修繕されるまでに多くの時間を要します。
公選の首長を置くことで公選区長は、有権者から票を得なければならないので、今までの行政サービスや他の区と比べてより良い行政サービスの実現を掲げます。
つまり、区長公選制になれば、公選区長は他の区と競争します。また、他の区で好評な行政サービスは良い意味で伝播します。
もちろん公選区長にすることによって全てバラ色になるとは思いませんが、現在の区制よりもガバナンスが明確になり、より区長に努力をさせる仕組みになるかと思われます。例を出すと東京都の特別区がまさにそれですね。
■まとめ
今回の選挙は公明党との密約破談により、大阪維新の会が都構想実現のために単独で過半数の議席を取らないといけなくなったことが引金になったかと思いますが、大阪市議会が力の源泉となっている公明党だけでなく、他の政党も大阪市議会を解体することは既得権益を失うに等しいこともあり、維新 VS オール反維新という構図になっていると言えます。
自公・民主・共産が肩を並べることは大阪以外ではまずありえないですが、各政党の共闘によって二重行政や既得権益にしがみついた政治がなくなり、大阪が活性化して良い方向に向かうなら良いことですね。
今回、維新の入替選挙を批判する声も多く、維新の苦戦が予想されており、維新が市長、府知事どちらかを落とすと都構想実現はほぼ難しいと言われています。
もちろん、自民党中心の市政、府政に変わり、都構想とは違う形で大阪の現状課題と将来の発展が考えられている政策も掲げられているので、どちらの政策がより実現性が高いか、将来性があるかという視点で判断したいと思います。
大阪府市民の皆様が将来の大阪をどう考えているのかがハッキリする選挙になるのではないでしょうか。
参考:大阪維新の会 大阪と構想について
https://oneosaka.jp/policy/policydetail/04.html
参考:都構想住民投票特設サイト
https://oneosaka.jp/tokoso/
参考:自民党大阪府連 世界都市大阪の実現
http://www.osaka-jimin.jp/wp-content/themes/jimin/common/db/policy_2016/html5.html
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