45歳、バンドエイドを手にして私は今、涙をこらえている

「45歳、バンドエイドを手にして私は今、涙をこらえている」Twitterに投稿された画像にハッとする。
何気なくつけているバンドエイドはなぜ肌色なのだろう? その肌色は、本当の色だろうか。
私たちは普段、何の疑いもなく「肌色」のバンドエイドをつけている。怪我を目立たせずに保護する。だからあの色をしているのだろう。
その「当たり前」は、本当に正しいのだろうか?
サンフランシスコに住むドミニク・アポロン(@ApollonTweets)さんの何気ないツイートはあまりに示唆的だ。
「45年間生きてきて初めて知った。自分の肌と同じ色のバンドエイドを着ける気持ちを。今、私は必死に涙をこらえている」
彼は1ヶ月前にオンラインストアで購入した「自分の肌と同じ色のバンドエイド」をつけた瞬間、初めて「当たり前」を知った。
日常に潜む差別、帰属意識、尊厳……あまりに多くの要素をとりいれた上記のツイートは見る人をハッとさせた。瞬く間に拡散され、8万7000リツイート、49万いいねがつくほど注目を集めた。
ドミニクさんは「自分の肌色と同じバンドエイド」が販売されていることは知っていたが、これまで購入したことはなかったという。彼は続けてツイートした。
「自分の肌にしっくりと合うバンドエイドを見た時、こんなにも複雑な情動が湧いてくるとは思わなかった。幼少期から1000回以上繰り返してきた何気ない普通の行動で、無意識のうちに黒人コンプレックスを抑えてきたのかもしれない」
「複雑な情動とは、おそらく帰属意識に近い。大切にされているような感覚だ。幼少期の自分はもちろん、何百万もの黒人の子どもたちは、自分の肌色ではないバンドエイドをつける度に、きっと哀しみを覚えていたのだろう。自分たちの肌色は、今なお歓迎されないカウントされない存在なのだと」
ハフポストUS版が報じているように、各肌色に合わせたバンドエイドは開発されて久しい。Amazonでも購入できる。しかし、まだ既存のそれよりも高価で、薬局やコンビニで当たり前に買うことは難しい。
ドミニクさんは大きな反響を受け、このように綴った。
「このバンドエイドが職場、病院、診療所に置かれるべきだと思う。白人至上主義はとても根深い。こうした日常の些細なところに潜んでいる。それがなくなることを祈っています」

引用:BuzzFeedNews 2019/04/23

─ YODOQの見方───────────────────────────

では、絆創膏には現在何色があって、どんな商品があるのでしょうか。
僕が調べてみたところ、結局、前述のハフポストUS版に載っていたものだけしか見つけることができませんでした。
その記事によれば、tru-Colourという商品で、3種類のブラウンの絆創膏が販売されています。2013年、マイゼンハイマーという人(白人)が、自分の息子であるkai君(黒人おそらく養子)に肌色のバンドエイドを貼ったとき、非常に悲しい思いをした。そして黒人の肌の色にあった絆創膏を作ろうと思い立ち、2015年、tru-Colourを設立したとありました。
冒頭記事のバンドエイドは正確にはBandAidではなく、tru-Colourの絆創膏だったということです。
2015年といえばつい最近です。つまり、それまで誰も肌色の絆創膏しかないことに問題意識を持たなかった。そして、現在も、少なくともネットで普通に検索して見つけられるほどには広がることはなかった、ということでしょう。
私達が普通に使う肌色の絆創膏しかないことで、黒人を差別しているかもしれないということすら、自由民権運動から50年以上たっても、誰も想像できなかったのだと思いました。そして、もちろん自分も何も感じていませんでした。
以前ある記事で、私達人間の人種間のDNAの違いというのは、ほとんどあるかないかといった、ほんのわずかなものだということを知りました。恐らく、違う生物から見たらみんな一緒に見えるのではないでしょうか。
最後に、この記事をまとめているときに、シンディローパーのTrue Colorsという素敵な曲を思い出しました。詩の内容は「本来のあなたの色」という意味なのですが、肌の色も含めた多様性も詩に込めたと、その昔聞いたこともあります。そして、今、この曲はLGBT擁護のテーマにもなっているそうです。一度聞いてみてはいかがでしょうか。

参考:ハフポストUS版 2015/7/10
   tru-Colour HP
   シンディローパーのTrue Colors