「私たちの友人である京アニを助けて」~日本とアメリカの寄付文化の違い~
【京アニ火災、アメリカのアニメ配給会社がクラウドファンディングを開始。「私たちの友人である京アニを助けて」】
7月18日午前に、京都アニメーションで火災が起き、30人以上が死傷した事件。
火災のあった第一スタジオでは、2階に搬送できない状態の被害者が10人以上見つかっているといい、未曾有の惨事となっている。海外でも人気の高い作品を制作している京都アニメーションに対し、アメリカのアニメ配給などを行うエンタテインメント事業会社「センタイフィルムワークス」は、支援のための緊急クラウドファンディングを開始した。
センタイフィルムワークスは火災を受け、公式Twitterで「私たちの心と思いは京都アニメーションと共にあります」とツイート。 その後、クラウドファンディングサイト「gofundme」で、50万ドル(約5400万円)を目標として京都アニメーション支援を呼び掛けた。
クラウドファンディングサイトでは、死者やけが人が出ていることを伝え、「センタイフィルムワークスは、今この時、京アニチームを助けたいと思っています。そして、この努力にあなたたちに加わってもらいたいのです」とつづっている。
クラウドファンディング開始から10時間で50万ドルをこえる金額、約87万ドル、日本円でおよそ9439万円が集まった。
クラウドファンディングに参加したほとんどが海外のファンであり、日本人は極わずかだった。
参考:https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d300753e4b0419fd327f70f
─ YODOQの見方───────────────────────────
上記での記載通り、クラウドファンディングに参加した日本人の数は極わずかだった。
理由として
「金額の使い道不透明」「本当に京アニに送金されるか」「あまりにも行動が早すぎる」「詐欺っぽい」「失った命はいくらお金があっても帰ってこない」etc.
クラウドファンディングにというより、寄付することに疑問を抱いている声が多く上がった。
たった10時間で、1億円近くの寄付が集まった海外の呼びかけと日本の寄付文化の違いが大きく表れた結果だった。
日本とアメリカで大きく違うのは文化の違いだ。
日本は生まれながらにして平等を与えられて生まれてくる。ほぼ皆、生まれた時点で同じスタートラインから始まるのだ。
そのため、裕福な人は努力していると思われ、貧困に苦しむ人は努力不足だとレッテルを貼られる。努力不足の人になぜ寄付しなければならないのか、日本人の考えにはその思想が根付いている。「働かざるもの食うべからず」この言葉はまさに日本を表していると言える。
一方、アメリカでは貧困は社会の階層によって生み出されるという構造的な問題がある。
必ずしも貧困層の人が怠けているわけでは無いという考えがあり、そこから日本の文化とは違った見方が生まれる。アメリカのホームレスは他人に恵んでもらって、それだけで暮らしている人も多いといわれる。
日本人は寄付を行わないのではなく、寄付を行う必要性を感じにくくなってしまった。つまり、個人が個人を助けることに、どこかで違和感を感じるようになったのだ。
しかし、この7年間で日本の寄付額が約1.5倍になった。そのきっかけの一つが東日本大震災だ。被災により人々が平等でなくなった瞬間、階層ができてしまう。欧米の階層文化と同じになった瞬間だ。
とはいえ、今回の京都アニメーションのクラウドファンディングの現状を見ると、なかなか寄付文化が根付いたとは言い難い。
確かに、海外とは税制の違いも出てきており、なかなか寄付がしやすい環境が整っていないのも事実だ。まずは、寄付環境を整えていくことが今後の日本の課題ではないだろうか。