消費税 制度としての評価

いよいよ10月からの消費税増税が迫っている。今回の消費税率変更は軽減税率の導入やキャッシュレス決済のポイント還元など様々な制度が加わり、同じ商品を購入しても店舗や条件により支払額が変わるなど消費者に混乱をもたらすと言われている。
消費者目線ではただ「わかりにくい」が強調されがちだが、税制の優劣としてはどうなのかを調べた。

引用:みずほ総合研究所 消費税の軽減税率とC効率

上記は2016年のレポートだが、この中で「諸外国の例をみると、軽減税率は逆進性対策としては効果が小さいことから、税制の専門家及び税務当局の間ではその導入が否定される一方で、政治的な要請によってそれが実現されることが多い」とされている。

デンマークでは、この問題に対応するため軽減税率をとり入れることをせず、低所得者への「冨の還元」は社会保障給付で実施する事で制度自体の費用対効果を追究している。これは同じEU圏の英国やドイツなどが軽減税率の複雑さや脱法行為への対処に苦慮していることとは対照的だ。

また、VRR(C効率)という指標で課税の効率を測ることができるとされている。消費税導入の後進国といえるニュージーランドや、日本が高く、先進国であるEU圏の国では低くなっている。
ニュージーランドでは税制設計の段階で幅広く課税することを目指しており、医療や教育などの公共サービスに対しても明確な意図をもって課税している。

参考:日経新聞 消費増税実現後の課題

─ YODOQの見方───────────────────────────

消費税はもともと「簡素で広い課税」を目指して導入するものであり、効率が下がれば導入の意義が薄れてしまいます。
日本は今回の軽減税率の導入により、課税の効率低下と複雑な事務処理負担の増加に継続的にさらされることになるのは確実なようです。

消費税先進国の数多くの事例、特に失敗事例に学ぶことはできなかったのでしょうか?
デンマークやニュージーランドのように「尖った」「合理的」な選択ができず、合議によって非効率な道を選んでしまうのはある意味日本らしい結論とも言えそうですが。。。

■備考
アメリカの税事情
参考:アメリカの消費税(売上税)と軽減税率
州や季節、時間によっても税率が変動する複雑な税制になっている模様。多様な人が集まり、多様な自治体がそれぞれの主張を展開するアメリカならではでしょうか。
やはり課税制度は国民性を表す指標と言えるかもしれません。