モロッコの最新エネルギー情勢

第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)が2日、スペインの首都マドリードで開幕した。温暖化対策の国際ルール「パリ協定」の本格実施を来年に控え、各国が温室効果ガスの削減目標の引き上げや、新たな排出抑制策を打ち出す機運が高まるか注目される。
<フランス・F2から>
集まった世界の指導者たちは地球温暖化に警鐘を鳴らし、その対策のために力を合わせることで意見が一致。CO2の排出削減にさらなる努力が必要と訴えた。しかし具体的にはフランスも他の国々もCO2の削減目標を守っていない。そんな中、北アフリカのモロッコは目標を守っている。モロッコは2030年までに再生可能エネルギーの割合を50%にまで高めようとしている。
アフリカ北西部に位置するモロッコは、人口3574万人の立憲君主制の国家。モロッコは農業を経済基盤としてきたが、近年の産業推進政策により、2017年からは自動車が最大の輸出産業となっている。国内にフリーゾーンを整備し、欧州連合(EU)、米国、トルコなどとの自由貿易協定により、10億人以上の市場に関税なしでアクセス可能にし、海外からの投資環境を整備しつつある。
また、そのために高速道路や鉄道、港湾などの公共事業に投資し、インフラ整備を図っている。
そうした中、モロッコ政府は再エネ利用を促進しており、同国は昨年12月末、電源構成に占める再エネの割合が35%に達したと発表した。2020年には、全発電容量に占める再エネの割合を42%(太陽エネルギー14%、風力14%、水力14%)、2030年までに52%(太陽エネルギー20%、風力20%、水力12%)に増やすことを目指している。
再エネの導入拡大を進める背景には、モロッコに大規模な油ガス田がなく、化石燃料を海外からの輸入に大きく依存していることがある。再エネ利用を増やし、国内で使う電力の自給率を高めていく方針である。
そこでは世界最大規模の集光型太陽熱発電所「ヌール1」「ヌール2」「ヌール3」というヌールプロジェクトが進められており、これらのプロジェクトが完成すると総出力は500MWを超え、100万世帯分の電力を供給できる見通しとなっている。
また、風力発電も発達しており、モロッコ南西部のタルファヤ(Tarfaya)には、アフリカ最大の風力発電所が2015年から本格操業している。約1万ヘクタールの土地に80m級ブレードの風車131基が設置され最大発電量は30万kwh、数十万世帯分の電力を供給する。

引用:
モロッコの最新エネルギー情勢
フランス F2
モロッコの風力発電

─ YODOQの見方───────────────────────────

この映像をフランスFC2のテレビ映像で見たのですが、印象に残った言葉がありました。それは、設備の見回りをしていたと見られる一技術者の言葉だったのですが、「ここには何もない。でも太陽と風だけはふんだんにある。」といったものでした。このあたりの年間の晴天日数は平均で322日だそうです。
何もないというのは、モロッコがある北アフリカ、中東は産油国だらけで、モロッコは産油国で囲まれています。しかしモロッコには油田がなく、資源がないがために弱小国とされてきた、という意味だと思います。
しかし、今、モロッコは唯一パリ協定をクリアし、エネルギーの自給もなしつつあります。将来的にはエネルギー輸出国になるかもしれません。
2015年のパリ協定以降、環境問題は世界の話題の中核になり、今後さらに注目されていくと思われます。そんな中、国家にしろ企業にしろ環境に配慮することはマストな課題であることは間違いありません。
そして、環境問題から派生するエネルギーシフトは、北アフリカ、中東における勢力地図をも変えていくかもしれません。