社内で「プロフェッショナル」をテーマに討論会を開いています。
そんな討論会の内容から不定期でシリーズ掲載したいと思います。
人物紹介
移植外科医 加藤友朗
東京都出身の外科医。多臓器移植の分野で先駆者として知られる。
現在、コロンビア大学医学部外科学教授およびコロンビア大学付属ニューヨーク・プレスバイテリアン病院肝小腸移植外科部長。
1980年代年代後半から1990年代前半にかけてヨーロッパで開発された、
APOLT(Auxiliary Partial Orthotopic Liver Transplantation、自己肝温存生体部分肝移植術)を初めて実用化した人物の一人として知られる。APOLTを使用した場合、免疫抑制剤の使用が不要になる。
2008年3月、複雑に絡み付いた腫瘍を摘出する過程で6臓器の同時切除・再移植(自家移植)を初めて成功させた。
現在多くの学会員であり、180本以上の論文を出版している。
プロフェッショナル・エピソード
A. 診察では、患者からの質問が出つくすまで切り上げることはしない。
手術の内容やリスクについてとことん話し合い、お互いが納得して初めてスタートラインに
立てるのだと加藤は考えている。
B. 移植手術の山場は、臓器の血管を寸分違わず縫い合わせること。
細心の注意をはらい細かく糸をかける必要がある。
加藤の真骨頂はこの後の作業、小さな血のにじみのチェックである。
わずかな出血でも痛みや回復の遅れにつながることがある為、
加藤は出血箇所を徹底的に探し出し止血作業を行っていく。
「止血してもその後の回復に影響しないかもしれない。
でも、影響するかもしれないなら、やっぱり余計に時間を費やす方がいい」
加藤は自分で満足できるまで、一切の妥協をせずしつこく作業を続ける。
※「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀」より引用
http://www.nhk.or.jp/professional/
討論時の意見
Aについて
(肯定派)
報酬にこだわっていない点が逆にプロ意識を感じる。
(否定派)
診療報酬の観点では、より多くの患者を診る方が効率が良いのではないか。
プロこそ報酬にこだわるべきでは?
Bについて
(否定派)
「余計に時間を費やす方がいい」外科手術こそ時間は早く終わらせなければいけない。
工期短縮が叫ばれる昨今のシステム開発において単純にそう言えるか?
⇒テストに時間をかけるのは理想だが、現実的ではない。
その他所感
我々の環境では、”患者”が”ユーザ(OR顧客)” と置き換わる。
患者が最も知りたいのは「リスク」と考えたとき、自分はユーザーへの説明の場で
リスクをとことん話しあえるだろうか・・・。
単純に、ユーザー要望はとことん取り入れるべきとはいえないはず。
社長の意見
確かに、システムの開発工期を短くすることが求められている。しかし、それは品質を落とすことにつながってはいけない。
工期を短くする工夫をしなければならない。
物理的に作る時間を短くするのはなかなか劇的には短くすることは難しい。
しかし、お客様の要件を聞き出す作業はもっともっと短く精度を良くすることは可能だと考えます。
まさしく、「診察では、患者からの質問が出つくすまで切り上げることはしない。」
お客様の考えの掘り起こしが足りないことが、プロジェクト全体の工期をのばしていると思う。
これは色々な工夫により劇的に短く、かつ品質をあげることは可能だと考えます。